こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。

事業が軌道に乗り出すと2店舗目や支店の設置などを考えだす方も多いはず。店舗展開により、あらゆるものの負担は2倍に増えるのでしょうか。

 

経費は2倍になる?

単純に同様の店舗などを増やすというだけであれば、経費がそのまま2倍ということはないでしょう。1店舗目のノウハウがあるため、スムーズに進みます。

それでも、準備段階では設備投資や費用がかかるため、一時的に利益が落ちるかもしれません。しかし、役員報酬などのように、店舗数に関係のない管理費用というものがあります。

このため、軌道にのると、1店舗経営の時より利益が確保できやすくなることもあります。どんな店舗を作るのかにもよりますが、単純に2倍になるという予測はしないようにしましょう。全く異なる店舗を作れば経費も変わります。土地柄でも単価は変わります。しっかりとお店の状況を予測しましょう。

 

帳簿は2つ作る必要ある?

新しい支店が出来たからと言って、2つ帳簿を作らなければいけないということはありません。支店があっても、会社は1つということに変わりないので、管理できない状況であれば、まずはすべてを1つとして帳簿を作りましょう。

しかし、店舗別での利益を把握することをお勧めします。このような時は別に帳簿を作って合算したり、部門別管理などを導入しましょう。

特に難しい話ではなく、どちらで発生した売上なのか、経費なのかを分けるだけです。レジや日報システムが会計ソフトと連携すると手間はありません。

 

税金は別に納める必要がある?

2店舗目や支店などを出した場合、法人税や地方税の申告はどうなるのでしょう。

こちらも帳簿同様、1つの会社なので、申告は1つです。ただし、漏れがちなのが、市区町村が異なる場所に事務所などを設置した場合。この場合には、事務所や店舗がある道府県、市町村すべてに事業税と法人住民税の申告が必要になります。

利益(所得)をもととする事業税と、法人税を基礎とする住民税は、複数の役所に提出しても、合計の金額を按分して各役所に収めるので、利益に対する税金が増えることはありません。(道府県、市町村により税率が異なる場合もあります)

ただし、道府県や市町村に事務所が存在することにより、利益に関係なく課税される税金が事業所のある道府県と市町村の数だけ負担が増えます。この税金は均等割額と言って、法人住民税の一種です。

 

店舗展開したら手続きが必要!

前述したとおり、異なる市町村に2店舗目や事業所を開設した場合には、各々の道府県や市町村に税金の申告書を提出する必要があります。このため、2店舗目や支店などを開設したら、道府県税事務所と市町村役場にその旨を届け出なければなりません。

実際に、この税金の納税漏れというケースを多々見受けます。税金が未納となっている=金融機関からも良く思われない。ということにもなりかねません。融資を受ける際に、「地方税もしっかり納めて下さいね。」と言われないためにも、申告漏れがないように手続きしましょう。