突然、訴状が届いたら・・・放っておくと大変なことに!こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。
わからないことはその道のプロに聞け!疑問や問題が起こる前に経営者なら知っておきたい話。会社の安全を守るため、専門家の方々から事前に学ばせて頂きます。
弁護士 高井翔吾先生の 「転ばぬ先の杖」ビジネスルールを身に付けよう。
第1回は「口約束でも契約になる?知らないと怖い「契約」の意味」をお届けします。
契約って何?
ビジネスを進めるうえで必要になることといえば、
- オフィスを借りる
- 必要な備品を買う
- 人を雇う
- 取引先にサービスを提供する
などなど。これらはすべて「契約」です。
このように、ビジネスと切っても切れない「契約」ですが、では「契約」とは何でしょう?
口約束でも契約?
「契約」とは、「法律上の効果を生じさせようとするお互いの約束」ということです。よく私が受けるご相談のなかには、このようなやり取りがあったりします。
依頼者様
「高井さん、私、●●というものを私がAさんに100万円で売る約束をしたんですけど」
高井
「なるほど」
依頼者様
「ただ、Aさんは、その後に気が変わったらしくて。『契約書は作ってなかったから、契約はまだだ。代金を払う必要はない。』っていうんですけど、そうなんですか?」
・・・さあ、どうでしょう?
答えは、
高井
「契約書がなくても、売買の約束(何を売買するか、金額がいくらか)ができていたなら、その時点で契約は成立しています。Aさんの言い分は通りません!」
です。
原則として、契約の成立には「契約書」という書面の作成は不要で、あくまで約束(合意)ができていたかによるのです。つまり、口約束でも契約だ、ということになります。
契約書はいらない?
じゃあ契約書は作らなくてよいか、というと、これはNOです。
というのも、理屈の上では契約書がなくても合意さえあれば契約は成立しているのですが、仮に上の例のAさんが合意を否定する場合、話し合いで解決しなければ、最終的には裁判所に行くことになります。
その際、裁判所は契約書があるかないかをとても重視します。契約書がないと、敗訴という結果になってしまう危険性が大きいです。ですから、みなさんも、ビジネスで合意をする場合、合意内容を記載した契約書を作ることを強くお勧めします。
とにかく、「証拠」が大事!
実際は、取引先との取り決めは口約束のままで契約書は作っていない、という場合もあると思います。このような取引でトラブルが生じた場合(上の例で言えば、Aさんが代金を払おうとしない場合)、契約書がないとどうしようもないのでしょうか?
このようなときでも、すぐにあきらめてはいけません。
要は、「どのような合意があったのか」ということがしっかり証明できればよいという話なので、合意を裏付ける「証拠」があればよいのです。こうした証拠としては、やはり契約書が一番ですが、
- 取引相手とのやり取り
- 合意内容が書かれたメールのやり取り
- 取引の合意をしたときに同席していた人の証言
(第三者的な立場の人であればなお良い)
なども証拠になります。
口約束も原則として契約として有効ですが、後からこれを証明するのはとても大変です。ビジネスにおいては、お互いの合意内容を契約書などできっちり「証拠化」しておくことを心がけましょう!
次回は10月29日
「取引先が代金を払ってくれない!代金回収のテクニック」
をお届けします。お楽しみに!
第3回 突然、訴状が届いたら・・・放っておくと大変なことに!
第4回 人を雇うときのルール、最低限これだけは押さえておこう!
プロフィール
弁護士 高井翔吾
(東京弁護士会、池田・高井法律事務所)
【 経 歴 】
東京大学法学部、東京大学大学院法学政治学研究科を卒業後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所にて企業法務全般を取り扱う。独立後は、契約書のチェック・作成、取引先との交渉代理、紛争対応など、ビジネスに伴う各種法的トラブルをトータルにサポートしている。
モットーは「事前の一策、事後の百策に勝る」。法的トラブルをそもそも生じさせないこと、不幸にも生じてしまったトラブルについては依頼者の利益のために妥協せずに戦うこと、を心掛けている。
【 趣 味 】
ジョギング後にビールを飲むこと(アサヒスーパードライが好み)。
【 論 文 】
「嘱託先が正当な理由なく調査嘱託への回答を拒絶した場合に、訴訟当事者に対する不法行為の成立が否定された事例(東京高判平24.10.24)」(ビジネス法務 2013年5月号)
【 会務活動等 】
日弁連交通事故相談センター東京支部 東京都26市役所(府中)交通事故相談担当弁護士
東京弁護士会 骨髄等提供最終同意立会弁護士
【 ホームページ 】