こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。
開業してから悩むことって、お金のこと以外にもたくさんあります。だけど、どこに相談していいか悩みますよね。そんな困ったを解決するのが、お役立ちコラム。
社会保険労務士荒 久美子先生の連載スタートです。
会社を守る!労務の「いろは」
第1回目は『起業した!さぁ、どうしよう?』をお届けします。
起業した!
起業をした際、色々な書類を行政に対して提出する必要があります。
労働保険や社会保険に関する書類については、基本的に次の3つの役所に提出が必要になります。
1.日本年金機構 (健康保険・厚生年金保険新規適用届等)
2.労働基準監督署 (労働保険関係成立届等)
3.公共職業安定所 (雇用保険適用事業所設置届等)
上記3ヶ所の提出書類は、設立した会社の種類(法人か個人か)や労働者の有無によって、提出する必要があるのかないのかが変わってきます。
法人 or 個人?
例えば、設立した会社が個人事業主1人で労働者がいない場合、上記3ヶ所に提出する書類はありません。
一方、同じく労働者がいない場合でも、設立した会社が法人なら、「1」に提出が必要になります。なぜなら、法人は社会保険(厚生年金保険や健康保険等)が強制的に適用となるからです。
そのため、法人を設立した場合は、役員1人だけでも「社会保険」に加入することになります。
労働者を雇ったら?
それでは、労働者を雇った場合はどうなるのでしょうか。ここで重要になってくるのは、雇った労働者の「働く時間」や「雇う人数」です。
例えば・・・、
● 労働者を1人以上雇った場合
「2」に必要書類を提出することで、いわゆる「労災保険」に加入しなければなりません。
● その労働者が、次の条件をいずれも満たす場合
「3」に必要書類を提出することで、「雇用保険」に加入しなければなりません。
A. その労働者が、31日以上の雇用見込みがあること
B. その労働者の1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること
なお、個人事業の場合、原則として5人以上の労働者を雇用することになった時で、その労働者がフルタイムまたは、フルタイムの4分の3以上働く場合には「1」に書類を提出し、労働者を「社会保険」に加入させることが必要になります。(ただし、事業主は加入できません。)
また、すでに「1」を提出している法人であっても、雇った労働者がフルタイムまたは、フルタイムの4分の3以上働く場合には、その労働者を「社会保険」に加入させる必要があります。
まとめ
起業して事業が軌道に乗ってきたら、短時間でも労働者を雇うことになるかもしれません。その際に、同じ「短時間」でもその労働者の働く時間によって加入する保険が変わってきます。雇用契約を結ぶ際には、「労働時間」を意識してみてください。
次回は「業務に合った働き方はどれ?働き方の色々。」をお届けします。
第1回 起業した!さあ、どうしよう?
第3回 お給料の支払い方のルール
第4回 就業規則が大切なワケ・・・。
プロフィール
社会保険労務士 荒 久美子
(東京都社会保険労務士会、日比谷ステーション社労士事務所)
【経歴】
早稲田大学卒業後、大手電力会社に勤務。営業や社員教育に携わる。
社会保険労務士の資格を取得後、都内社会保険労務士法人に勤務。労務管理、労使トラブルの解決、社会保険事務などに携わる。
2014年、日比谷ステーション法律事務所内にて日比谷ステーション社労士事務所を開業。
【保有資格】
社会保険労務士
ファイナンシャルプランナー(AFP、2級FP技能士)
第II種電気工事士
中学、高等学校教諭一種免許状
【趣味】
ダンス
(高校まではバレエ、高校からはジャズダンス、最近はベリーダンスも)
【ホームページ】