こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。
わからないことは専門家に聞け!
2月の連載は外国人を雇用するときに、知っておかなければならないことがあります。
それが「就労ビザ」。
聞いたことはあるけどよくわからないという方も多いのが現状。
行政書士の鳥居さくら先生の連載第2回は「外国人を雇用したい~正社員・契約社員編~」をお送りします。
「人柄もよく真面目で仕事のできる外国人がいるから雇いたい」、「知り合いの外国人が仕事を探しているから雇いたい」という経営者のお話をよく伺います。
しかし、日本人を雇用する時とは違い、外国人が日本で正社員または契約社員として働くためには一定の基準を満たす必要があり、いわゆる専門知識や技術を必要としない単純作業の職務内容では、就労ビザを取得することができません。
適切な就労ビザがないことを知っていながら雇用した場合、雇用主は『不法就労助長罪』に問われることもありますので、気を付けてください!
上陸審査のチェックポイントとは?
≪許可基準≫
【外国人(申請人)】
1.学歴
2.職歴
3.職務内容
【雇用先】
1.事業の安定性
2.事業の継続性
3.事業の収益性
4.雇用の必要性
≪例1≫「技術」、「人文知識・国際業務」に該当する就労ビザの場合
それぞれの在留資格該当性は、以下のようになります。
① 「技術」:自然科学の分野に属する技術又は知識を要する理科系の業務
(情報処理、システムエンジニア、建築、電気等)
② 「人文知識・国際業務」:法律や経済、社会学といった人文科学の知識や外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする文化系の業務
(経理、金融、翻訳、通訳、広報、海外取引業務、デザイン、商品開発等)
学歴について言えば、
・大卒以上(専門学校については、日本の専修学校修了のみ可)
・大学を出ていない場合は、従事しようとする業務について10年以上の実務経験を有していること
また、雇用先は日本人と同額またはそれ以上の報酬を外国人に支払う必要があり、雇用契約書等の書類を入国管理局に提出します。
※平成27年4月1日より在留資格「技術」、「人文知識・国際業務」の区分が廃止され、包括的な「技術、人文知識・国際業務」が創設されます。
≪例2≫:「技能」に該当する就労ビザの場合
在留資格該当性は、「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する」業務
(中華料理、インド料理のコック(調理師)、宝石加工職人等)
学歴の要件はありませんが、10年以上の実務経験(外国での調理師学校の期間も可)が必要であり、雇用先は日本人と同額またはそれ以上の報酬を外国人に支払う必要があり、雇用契約書等の書類を入国管理局に提出します。
まとめ
ここでは、ほんの一部の例かつ最小限のポイントを示しただけですので、個別具体的な要件等については行政書士や入国管理局に確認をお勧め致します。
外国人が日本で正社員または契約社員として働くためには、外国人(申請人)の学歴、職歴と業務の目的の一貫性に加え、雇用先の経営状況等を総合的に勘案するため、それらを証明する卒業証明書や雇用契約書、決算書や給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表などの書類を入国管理局に提出する必要があります。
「そんなことを言っても、街のコンビニや居酒屋ではいわゆる単純労働をしている外国人がたくさんいるではないか」と思われた方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。そこで、第3回目は「外国人を雇用したい!~パート、アルバイト編~」をお送りします。
第1回 外国人を雇うなら知っておきたい「ビザ」と「在留資格の関係」
プロフィール
行政書士 鳥居さくら
(東京都行政書士会、アルバ国際行政書士事務所)
【 経 歴 】
上智大学文学部史学科卒業、ロンドン大学大学院(University College London)地理研究科環境社会学修士課程修了。
帰国後、都市計画・まちづくりコンサルタント会社、環境系の非営利団体にて勤務。そこで企業・行政・市民をつなぐためには、法律知識が極めて重要であり、問題意識やトラブルの種はあっても、実際に何か問題が起こってからでないと動けないという、もどかしさを感じるようになる。
そんな中「予防法務」=未来に向かう法律専門職に興味を持ち始め、ロンドン留学時代に知ったイギリスのSolicitor(事務弁護士:法廷には立たないが一般の法律相談や書類の作成・管理を行う)に近い概念である「行政書士」になろうと決意。
試験合格後、都内の行政書士事務所勤務を経て、アルバ国際行政書士事務所を開設。
【 資 格 】
・行政書士
・東京入国管理局長届出済申請取次者
・個人情報保護士
【 趣 味 】
・登山(お気に入りの山域は奥多摩と北アルプス→下山後温泉♨→ビールで乾杯♪)
・お酒(ジャパニーズウイスキーを応援!日本酒も大好きで冬は熱燗ばかり♡)
【 ホームページ 】
http://www.alba-international-as.com