こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。
昨日、帳簿~確定申告完了コースを開催しました。1回目で経費の振り分けや確定申告との位置付けを確認。そして、2回目となる昨日は実際の会計ソフトの使い方を設定からお伝えしました。
会計帳簿を作るにあたって必要な4つの情報をご存知ですか。この4つを記録できれば帳簿はできてしまいます。でも、実は実際に会計ソフトを渡されてもどこから入れていいのかわからなくなります。
なぜか。
ひとつひとつの取引によってやることが違うと思ってしまうからです。
例えば、現金は「現金出納帳」、預金は「預金出納帳」、そのほかは「振替伝票」や「仕訳日記帳」から。全部入力する場所が異なるため、違うものだと勘違いしているのです。でも、実は最終的にはどこから入力しても同じ状態なのです。帳簿を入力して何ができあがるのかがわかれば紐が解けていきます。
帳簿に必要な5つの要素
帳簿を作るというと、仕訳という取引を記録するという作業をイメージします。もちろん、仕訳を記録していくことが帳簿を作ることです。だから、みんなわからなくなるのです。仕訳を作ることばかりを考えていると、1つ1つの取引で「あれ?これって?」と悩んでしまいます。仕訳とは取引の事実を表すための共通する手段というだけです。
そして、帳簿がその仕訳を集計して最終的に作りたいものは「貸借対照表」や「損益計算書」となるわけです。作業的なゴールがこの2つだとすると、そのゴールである「貸借対照表」と「損益計算書」は何を示しているか。
「貸借対照表」
事業における財産状況を示すため、資産(財産や権利)と負債(債務や義務)と純資産(元手や過去の利益)からできています。
「損益計算書」
一定期間の利益を計算するため、売上高やその他の収益と売上原価・その他の費用が集計されます。
いかがでしょう。ゴールを作る要素となるのが、資産・負債・資本・収益・費用の5つとなるのです。取引をこの5つに分類して記録していくことが仕訳です。
原因と結果を示す
仕訳は必ず原因と結果という2つの要素から成り立ちます。
例えば、
① 商品を現金で売り上げた場合
現金(資産) ×××円 / 売上(収益) ×××円
商品を売り上げた(原因)ことにより現金が増えた(結果)ということを示しています。
② 交通費を現金で支払った場合
旅費交通費(費用) ×××円 / 現金(資産) ×××円
交通費が発生した(原因)ことにより現金が減った(資産)ということを示しています。
③ 預金からお金を引き出した
現金(資産) ×××円 / 普通預金(資産) ×××円
現金を引き出した(原因)ことによって普通預金が減った(結果)
このように必ず勘定科目は原因と結果という2つを最低使用します。旅費交通費だけまとめても何で支払ったかわからないですよね。現金ですか?クレジットカードですか?電子マネーですか?これを示すことが仕訳です。
帳簿作成に必要な4つの情報
それでは、勘定科目以外に実際に帳簿作成するにはどんな情報が必要でしょうか。次の4つの情報が必要になります。これは、どの帳簿を作るときでも共通するものなので、仕訳を作る際に覚えておきたいところです。
① 日付
いつ行われた取引なのか明確にする必要があります。昨日なのか今日なのか、1年前か3年前か。関係なく入っていたら適正な一定期間の損益計算ができなくなりますよね。なので、しっかり日付は確認しましょう。
② 勘定科目
5つの要素をもっと細かくした、現金、売掛金、未払金、借入金、旅費交通費や通信費などといった分類です。
個人事業主であれば確定申告書に添付する「収支内訳書」や「青色申告決算書」に記載されているものを使うと簡単です。会計ソフトを利用する場合にはデフォルトで設定されていますので選ぶことができます。
③ 摘要
相手先や取引の内容を記載します。費用などで例えると、水道光熱費という勘定科目では電気代か水道代かなどわかりません。その詳細の内容を書きとめる欄が摘要です。ここには「〇月分電気代」などを記載しましょう。
④ 金額
いくらで取引したのかわからなければ損益計算も財産状況もわかりません。取引した総額を記録する必要があります。
帳簿を作ったら必ずやるべき5つのこと
帳簿のゴールは仕訳ではないと前述しました。大切なことはその先です。正しい損益が計算できているか。正しい財産状況が表示されているか。この結果を受けて自身を振り返り、未来の仕事につなげていくということが目標です。そのためには、正しい損益と正しい財産状況を表示していなければいけません。
正しい損益や正しい財産状況になっているか確認する必要がありますので、帳簿を作成したら、最低限次のことは確認してみましょう。
● マイナスの残高になっている勘定科目はないか (入力ミス、漏れなど)
● 預金の残高が通帳と一致しているか (入力ミス、漏れなど)
● 桁が自分の事業規模とかけ離れていないか (数字の入力ミス)
● 毎月発生しているはずのものが入力されているか
● 頭の中で考えている利益と大きな違いはないか
帳簿は作って終わりではありません。
上記のポイントをおさえて大きな間違いがないか確認してみてください。
間違った数字では判断も間違えてしまいますので、上記を確認後に試算表にて業績確認などを行いましょう。