こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。

もうすぐ1年も折り返し地点です。
7月には個人でお店を経営している方に所得税の第1期予定納税がありますが、資金の確保はできていますか。もし、昨年より業績不調の場合には予定納税額を減額できる方法があります。資金繰りが厳しい場合には活用してみましょう。

 

予定納税とは

昨年の所得税額をもとに計算された金額が15万円以上の場合に、その金額の3分の1の金額を7月(第1期)と11月(第2期)に納めることをいいます。

今年も前年と同額の利益と見越して、3月15日に払うべき税額の前払い制度です。実際に来年の3月15日に確定申告をした際には、確定した税額から予定納税額を控除して納付することになります。

参考:国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2040.htm

 

予定納税額を減額する方法

減額承認申請

予定納税額はあくまで前年と同額と仮定したもので計算されます。よって、6月30日(第2期は10月31日)の状況で昨年の所得税等より少なくなると見込まれる場合に、予定納税額が減額される制度です。

申請できるかの判断

減額承認申請は6月30日または10月31日の状況で以下のような理由がある場合に申請することができます

  • 廃業や休業、失業をした場合
  • 業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも70%以下と見込まれる場合
  • 災害や盗難、横領により損害を受けた場合
  • 多額の医療費を支出したため、医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合
  • 扶養家族が増えた場合や、離婚・死別等により寡婦になった場合 など

手続き

現在までの実績と7月(第2期は11月)以降の損益予測をして、予測損益計算書を作成し、本年分の申告納税見積額を算出して申請書に記載します。「予定納税額の減額申請書」と予測損益計算書を提出します。

申請期限

第1期 7月15日
第2期 11月15日

※期日が土日祝日等にあたるときはその翌日

 

減額承認申請が得とは限らない

最終的に清算される

減額承認申請は予定納税額を減額するためのものです。先に述べたとおり、予定納税額は3月15日の確定申告で計算する所得税額等の前払い制度です。つまり、最終的には1年間で納めるべき税金は変わりません。

例)確定申告による年税額30万円

① 減額承認申請をしない場合
7月予定納税額  20万円納付
11月予定納税額 20万円納付
確定申告時    10万円還付

合計30万円納付 (20万円+20万円ー10万円)

② 減額承認申請をした場合
7月予定納税額  10万円納付
11月予定納税額 10万円納付
確定申告時    10万円納付

合計30万円納付 (10万円+10万円+10万円)

 

日々の経理及び業績管理が必要

減額承認申請をする場合、試算表や予測損益計算書などの提出が必要になります。つまり、直近まで経理が終わっている必要があるのです。本当に業績不振なのか、資金繰りが厳しいのかは経理が追い付いてこその判断です。

経理は経営管理です。確定申告のための帳簿ではなく、日々経理をすることによりこのよう手続きもすぐに処理できるようになり資金繰り改善に役立ちます。

まとめて処理。ではなく、日々処理していけるよう工夫をしましょう。

 

本当に必要か判断しよう

最終的には清算されるため先に払うか、後に払うかの問題です。また、事務手続きも必要になり通常業務以外の作業になります。本当に資金繰りが厳しい状況であったり、資金に余裕を持っておきたいという場合に活用しましょう。