こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。
起業してから悩むことって、お金のこと以外にもたくさん。だけど、どこに相談していいか悩みますよね。そんな困ったを解決するのが、お役立ちコラム。
社会保険労務士荒 久美子先生の連載スタート!
会社を守る!労務の「いろは」
第3回目は『お給料の支払い方のルール。』をお届けします。
お給料の支払い方は、「賃金の支払の5原則」!
労働者を雇いますと、労働の対償としてお給料をお支払いする必要が出てきます。「お給料を支払う」と言っても、この支払方法には法律で定められた大きな決まり事があります。
これは「賃金の支払の5原則」と呼ばれるルールで、労働者にお給料を支払われる際には必ず守らなければならないものです。
1.通貨払の原則
賃金は通貨で支払わなければなりません。現物給与は禁止されています。
2.直接払の原則
賃金は直接労働者に支払わなければなりません。親権者等の法定代理人や労働者の任意代理人等に渡すことは禁止されています。
3.全額払の原則
賃金はその全額を支払わなければなりません。会社で貸し付けている貸付金と賃金を勝手に相殺することは禁止されています。
4.毎月1回以上の原則
賃金は毎月1回以上支払わなければなりません。半年に1回支払う等ということは禁止されています。
5.一定期日払の原則
賃金は毎月一定の期日を定めて支払わなければなりません。「25日から末日まで」や「毎月第4金曜日」等のような定め方は禁止されています。
もちろん「例外」はあります。
上記の原則をご覧いただき、「あれ?給与から色々控除されたりしてたけど・・・。」と思われる方もいらっしゃると思います。
この原則ですが、もちろんそれぞれいくつか「例外」があります。ここでは、いくつかある例外の内、「知っていたら便利な『例外』」をご紹介します。
1.通貨払の例外
個々の労働者が同意をした場合は、労働者が指定する金融機関への振込みが可能です。
2.直接払の例外
使者(命令や依頼を受け、本人の支配下で使いをする人、妻子等)への支払いは可能です。
3.全額払の例外
所得税等の源泉徴収や社会保険料など、法令で認められている場合は控除可能です。
4.毎月1回以上、5.一定期日払 の例外
臨時に支払われる賃金や賞与等は、毎月1回一定期日に支払わなくても良いです。
他にもあります「支払い方のルール」
物理的な「支払方法のルール」をご紹介してきましたが、支払うお給料の「内容」にも一定のルールがあります。
例えば、「最低賃金」がその1つです。
会社によって、基本給の他に色々な名称の「手当」を支給しているかと思います。会社が支給するお給料の総額が、最低賃金を上回っていれば良いという訳ではなく、「基本給+諸手当(精皆勤手当、通勤手当、家族手当を除く)」が最低賃金を上回っている必要があります。
なお、月給制の場合の最低賃金の計算方法は、「月給÷1箇月平均所定労働時間」になります。
まとめ
「労働者にお給料を支払う」ということには色々なルールがあります。このルールを知らないと、気がつかない内に労働者に不便を強いてしまう、また、使用者が罰則を受けてしまう可能性もあります。
既に労働者にお給料のお支払いをされている使用者の方は、いま一度ルールと支払い方を確認してみてください。
最終回の次回は「就業規則が大切なワケ・・・。」をお届けします。
第1回 起業した!さあ、どうしよう?
第3回 お給料の支払い方のルール
第4回 就業規則が大切なワケ・・・。
プロフィール
社会保険労務士 荒 久美子
(東京都社会保険労務士会、日比谷ステーション社労士事務所)
【経歴】
早稲田大学卒業後、大手電力会社に勤務。営業や社員教育に携わる。
社会保険労務士の資格を取得後、都内社会保険労務士法人に勤務。労務管理、労使トラブルの解決、社会保険事務などに携わる。
2014年、日比谷ステーション法律事務所内にて日比谷ステーション社労士事務所を開業。
【保有資格】
社会保険労務士
ファイナンシャルプランナー(AFP、2級FP技能士)
第II種電気工事士
中学、高等学校教諭一種免許状
【趣味】
ダンス
(高校まではバレエ、高校からはジャズダンス、最近はベリーダンスも)
【ホームページ】