こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。

事業をおこなっていくうえで帳簿を作成することはとても大切です。いつ、どんな取引がおこったのか。これを記録するのが帳簿。そして、その帳簿をもとに事業の結果(利益)が計算されていきます。つまり、利益はどんな取引を行ってきて生まれたのかわかるのが帳簿です。

ただ単純に入金を売上、支払ったものを仕入れや経費に振り当てればいいというものではありません。これでは税務上の帳簿の要件を満たしていませんし、帳簿の意味を全くなさないただの集計です。

 

帳簿は省略しない

帳簿をつくるうえで次の4つ+1をおさえて記録していきましょう。

  1. 日付
  2. 金額
  3. 取引先
  4. 取引内容
    +取引詳細

たいていの帳簿は1と2は記載されていますが、3以降を省略しているケースが多く見受けられます。しかし、税務上の帳簿の要件は1~4すべてを記載することです。特に青色申告の承認を得ている場合には帳簿要件があるため、しっかりと記載する必要があります。

なぜ取引先や内容を記載しないのか。これは領収書を見ればわかるからだと思っているようです。見ればわかっても記載は義務なので記載しましょう。クラウド会計で領収書をアップロードしていて画面上ですぐ見れたとしても帳簿には記載されていません。通帳の明細が連携していても帳簿には内容を別に登録しない限り帳簿に記載されません。画面上で書いてあるからわかるというのはNGです。帳簿は「総勘定元帳」というものが必要で、そこに記載されなければいけないのです。クラウド会計以外の場合も同様です。自分で「摘要」欄に取引先や取引内容を記載する必要があります。

義務だから記載しましょう。とお伝えしてはいますが、記載されていることによってお店の状況が見えてきます。

日付と金額だけだと帳簿をみても業績結果の原因がつかめません。しいては間違えすらも発見できません。なんであのときこんなに利益あがったんだっけ。こんなに経費でていったんだっけ。などいつでも原因を簡単に分析できるように取引内容や詳細を記載しておきましょう。

 

取引詳細が大切

取引の内容と詳細ってどう違うのでしょう。

内容は、ざっくりと。詳細は思い出せるレベルで。と考えてください。

経費に関して言えば、大きな分類として勘定科目があります。
例えば「接待交際費」。

でも、接待交際費にはたくさんのものが含まれています。
「贈答品」「飲食接待」「交流会参加」「ゴルフ」「慶弔金」「お中元・お歳暮」「手土産」などなど。これらざっくりとしたものが【内容】だと思ってください。接待交際費のなかでもどんな支出があるかを分類する役割。そして詳細は「誰を接待したか」「誰に贈答したか」など接待交際した理由が明らかになるようにします。これで事業関係性を立証してきます。

ただし、すべてに詳細を記載していると手間なので、領収書や請求書をみてわかるものは内容まで記載して、詳細は省略して問題ありません。例えば、接待相手の名前を領収書にメモしておくなど。このときに大切なことは、領収書や請求書がすぐに探し出せるように整理されていること。日付順や項目別に分けると楽になりますよ。

 

後回しにしない

利益を生みたいなら、帳簿作成はリアルタイムで行いましょう。経理は経営管理です。帳簿作成が遅れ、業績把握が1か月遅れたらどうでしょう。2カ月遅れたら?

正直、季節も状況も変わっています。

12月の忘年会時期と1月の新年。

3月の年度末と4月の新年度。

8月の夏休みと9月の秋。

季節や状況が変われば打ち手も変わります。だからこそ日々の帳簿付けが大切になります。帳簿は業績管理のためのツールです。お店のためにも後回しにせず日々行っていきましょう。コツコツが苦手な方は、経理を自動化して作業の効率化をはかっていくと楽になりますよ。