こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。

ここ数ヶ月、法人化のご相談が増えています。
脱サラして法人を設立する場合と、個人事業主から法人化する場合では気をつけるべき点が違います。

 

事業用資産の引き継ぎ

個人事業から法人にする場合、個人事業で行なっていた業務をそのまま引き継ぐため、これまで使っていた備品や在庫も引き継ぎます。

つまり、個人事業主が法人へ売却したという取引が発生します。高額な備品(業務用冷蔵庫など)である場合には事業の売上ではなく、譲渡所得に該当します。

どちらにしても、事業に関する譲渡のため、消費税の課税事業者である場合には、消費税の対象となります。

 

確定申告の必要性

事業を廃止した年の分を忘れてしまいがちですが、事業所得と給与所得を合算して確定申告する必要があります。
もし、個人の財産を法人に賃貸するようであれば、会社設立後も引き続き賃貸料に関しても確定申告が必要となります。

 

資金使途の明確化

法人にすると個人とは人格が別になるため、資金の柔軟性を失います。
個人事業のときには、個人的な費用をだしたりするなどポケットマネーがなくなったときにいつでも引き出せる状況でしたが、会社になるとそうはいきません。

これにより、個人的なものと法人の費用をきっちり分けられるようになるため、資金管理も楽になります。

 

役員報酬の発生

個人的な支出を簡単に引き出すことはできませんが、毎月お給料と同じように役員報酬として定額受け取ることが可能です。個人事業の時は事業主のお給料は費用になりませんでしたが、法人の役員報酬は要件を満たしていれば全額費用として認められます。

気を付けたいことは、資金繰りです。

毎月一定の日に一定額を支払わなければいけないため、無理のない金額を設定しましょう。

 

会計上の費用と税務上の損金が違う

個人事業の時は会計上の利益から税金計算が行われました。しかし、法人になると、会計上は費用として処理していても、法人税の計算上費用にならないということが起こります。

例えば、要件を満たしていない役員賞与だったり、一定額以上の交際費などです。

利益を圧迫する上に、税金の対象になってしまうという良いことなしです。細かい点を覚えると大変ですので、会計と税務は考え方が異なることがあると覚えておきましょう。