こんにちは。
愛され続けるお店づくりをサポートする税理士の酒井麻子です。

法人の交際費は損金に算入できない?
個人事業主の交際費の認められる範囲は?
など、交際費には制限があるということは知られています。

では、交際費になる基準はあるのでしょうか。

交際費とは

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出する費用をいいます。

つまり現在の取引先や将来の取引先、特定の社員のみなどに対する飲食や贈答、ゴルフ、旅行、慶弔費などがこれに該当します。

 

なぜ交際費は不利なのか

『冗費の節約』つまり無駄遣いをやめましょうという観点から、法人税法では交際費は原則として損金不算入(法人税の計算において費用とならない)とされています。このような理由から不利というイメージがあります。

しかし、平成25年4月1日以後に開始した事業年度から中小法人については年間800万円まで全額が損金として認められるようになりました。(以前は使用額の10%が認められていませんでした。)
また、平成26年税制改正では景気浮上を目的に中小法人に関係なく飲食費の50%を認める(中小法人は上記といずれかを選択)という規程もできました。

結果、中小法人においては、交際費がとても使いやすいものとなりました。

※中小法人とは
期末の資本金の額又は出資金の額が1億円以下である等の法人

 

交際費から除かれるもの

使いやすいなったと言っても上限が決められているため、やはり少しでも交際費に該当しない方がいいので交際費から除かれるものをご紹介します。

  • 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
    ⇒ 福利厚生
  • カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他のこれらに類する物品を贈与するために通常要する費用
    ⇒ 広告宣伝費
  • 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
    ⇒ 会議費
  • 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
    ⇒ 取材費

 

交際費から除かれる飲食費の条件

交際費なのか、会議費なのか明確な金額基準がほとんどなく難しい判断でもありました。
しかし、現在では以下の要件を満たすことにより、1人あたり5,000円以下の飲食費であれば交際費から除くとされています。これは金額だけでなく、要件を満たすということがポイントです。要件を満たせないときは金額に関係なく交際費となることがあります。

  • 飲食費であること
    贈答などは認められていません。
  • 専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く
    社内の人間だけということは認められません。社外の方との飲食が対象となります。
  • 次の事項を記載した書類を保存していること
    イ  飲食等の年月日
    ロ  飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
    ハ  飲食等に参加した者の数
    ニ  その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
    (店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
    ホ  その他参考となるべき事項

    領収書の裏面や経費精算書などに参加者氏名等を記載しておきましょう。

 

個人事業の場合の交際費は?

個人事業の場合、所得税では交際費の上限が定められていません。つまり、使用額がそのまま必要経費となります。
しかし、気を付けて頂きたいのは身内や友人との飲食費などは認められませんので次のような点を注意しましょう。

「事業遂行のために本当に必要かどうか」
「個人的な支出ではないか」

認められるためにも、支出した領収書には参加者などを記載しておくことをお勧めします。